主張

小野湖と小野の大切さ1

私達の水瓶”小野湖”

 9月4日、”アクトビレッジおの”にて、厚東川ダム(小野湖)築造60周年記念式典が開催されました。この節目に当たり、小野湖や小野湖の水を守る活動”について紹介します。
 小野湖は、昭和15年12月に堰堤工事に着工し、戦中戦後の混乱期、一次中段を経て、9年の日時を費やし、昭和25年1月完成、3月に竣工式が行われています。その間、水没(家屋169戸)(田んぼ106ha)(畑13ha)(山林37ha)(宅地5万9,00平方メートル)と言う、地域住民の大変な犠牲とご苦労の下完成にこぎ着けています。小野湖の総貯水量は、23、788、000立方メートルで、湖水の配分は、宇部興産(46.7%)、協和発酵(19.7%)、宇部市(18.3%)、小野田市(12.7%)、セントラル硝子(2.7%)となっています。小野湖は、中流域に位置し、集水面積が広い反面上流に多くの集落が存在し、湖水の水質基準の遵守が困難な状況にあります。そのような状況の下、小野湖の水質を守るため、地元の皆さんを始め、多くの団体が水質保全に取り組まれています。

小野湖と小野の大切さ2

”小野湖”の水源地に計画されている産業廃棄物処分場

 このような状況にある小野湖の水源地に産業廃棄物処分場が、計画されています。  
 それは、中国道美東サービスエリアと宇部市小野上宇内地区の中間に位置した谷間に計画されています。計画地から流れ出た浸透水等は、ため池に流れ込み、約1km下流の大田川を経て、小野湖に流れ込みます。埋め立てられる産業廃棄物は、リサイクルが困難なプラスチックスやゴム、繊維の混成物です。このような産業廃棄物が、素堀の穴に、15年間にわたり、600,000立方メートル埋め立てられるのです。   
 産業廃棄物は、可塑剤、安定剤、染料・顔料、難燃材、架橋剤、成形助剤等として、比較的低分子量の化学物質を含有しています。このような化学物質は時間と共に表面に移行し、雨水等により洗われ、水や土壌を汚染します。また化学物質の移行速度は、非常に遅いため、長年にわたり汚染が続きます。近年各地で、飲料水の汚染が確認され、裁判にて産業廃棄物処分業者が敗訴しています。  
 このことからも計画されている、安定型産業廃棄物埋立処分場がいかに危険であるか知るこが出来ます。
 しかし例え勝訴したとしても、一度汚染した自然を回復するのは不可能と言っても過言ではありません。

小野湖と小野の大切さ3

産業廃棄物処分場の設置許可基準

 水源地を汚染する可能性のある安定型産業廃棄物処分場の設置許可に当たって、十分にその安全性が確認された上で許可されているのでしょうか!考えてみましょう。許可の主要プロセスは次のようになっています。
①生活環境影響調査の実施(計画者)
②調査結果の関係地域自治会への説明(計画者)
③次の者から設置の承諾を得る、自治会、排水放流先の水路河川等の管理者、水利権者、漁業権者、計画地に隣接する土地の所有者(計画者)。その後  
⑤関係市町村の意見及び
⑥専門知識を有する者の意見を考慮して決定されます。埋め立てられる産業廃棄物は、廃プラスチックス、ゴムくず、金属くず、ガラスくず、コンクリート・陶磁器・がれき類で安定5品目と呼ばれています。安定だからとの理由で、埋め 立て地からの侵出液による公共の水域及び地下水の汚染を防止するための措置は求められていません。従って素堀同然の穴に埋め立てることが出来るのです。一番の問題は、安定型最終処分場に埋め立てられる安定5品目がその名と違い決して化学的に安定でないと言うことです。これを安定と決めつけて生活環境影響調査を実施しても、水域や地下水が汚染されるいう結果が出ることは有りません。現実に福岡県筑紫野市の安定型処分場で、発生した硫 化水素によるとみられる中毒で作業員3名が亡くなっています。又滋賀県栗東町の安定型処分場に於いても高濃度の硫化水素が検出されています。
 これは、安定5品目が決して安定でないことを証明しています。安定でない産業廃棄物を安定として実施する生活環境影響調査など意味がないと言わざるを得ません。

小野湖と小野の大切さ4

何故水源地に産業廃棄物処分場か!

何故私たちの水瓶である小野湖の水源地に、その水質を汚染するおそれのある産業廃棄物の最終処分場(埋め立て)が計画されるのか考えてみました。
①近くに高速道路のインターが設置され大都市圏からのアクセスが良くなった。
②計画地を管轄する行政区(市)の住民や地権者が水質汚染した場合でもその影響を受けない。
③農林業の弱体化等により、計画地が地権者の生活資源として役立たなくなった。
④計画地域の高齢化、過疎化が進み、その維持が困難になった。
⑤小野湖を水瓶とし、その恩恵を受けている人たちの関心が低い。
 等が考えられます。計画によると、素堀の穴に60万立方メートルの廃棄物を廃棄し、10万立方メートルの土で覆うこととなっています。仮に処分料を1立方メートル当たり2万円としても120億円という大金になります。土地購入費として半額60億円を当てたとしても、坪単価12万円になります。農林業の衰退や高齢化、過疎化により、生活の糧としての価値が低下した土地にこのような 大金が注がれるのです。どの様なことが起こると思いますか。計画を阻止すれば終わりという単純な問題でないことは、明らかです。
 その恩恵を受けているまちなかの人も真剣に考えなければならない問題だと思います。

小野湖と小野の大切さ5

水源地を守るための活動

私たちは、水、空気(酸素)、食べ物なくして生きることは出来ません。
 では、このような私たちが生きるために欠かすことの出来ないものはどこで、どのように作られているのでしょうか?、森林は炭酸ガスを吸収し、酸素をつくることにより空気をきれいにします。また降った雨を蓄えると共に海を豊かにします。私たちの食卓を見ると多くの食材が中山間地の里山や農村地帯から供給されています。まちなかの人々は、生きるために必要な水、空気(酸素)、食べ物すべてに付き里山や農村地帯の恩恵を受けており、里山なくしては、生きていけないと言っても過言ではありません。しかし多くのまちなかの人はこのことを認識していません。  
 日本の森林の40%は人工林が占めています。人工林は放置すると荒廃します。しかし中山間地では高齢化と過疎化に加え木材の価格低下等によりほとんど手当が出来ていません。その結果どんどん荒廃が進んでいます。里山の農耕地についても同様のことが起こっています。このままの状態を放置したならば、まちなかの人も里山の恩恵を受けることが出来なくなります。まちなかの人がまずこのことを認識し、行動する必要があります。私達うべ環境コミュニティー、宇部自然保護協会、宇部山岳会、宇部野鳥保護の会、小野湖の水を守る会は体験にて、このことを特にまちなかの人に認識してもらうため地元農家の人達と一緒に次のような活動を行っています。
 里山の休耕田の草刈り、ソバ、菜種、れんげ、スイカなどの栽培、まちなかの人のための農園の開設又23年度には、まちなかの18家族と共に、親子で田植え、草取り、稲刈り、餅つきと一連の活動を体験しました。述べ約350人の方の参加を頂きました。  24年度も、

きれいなみどり・水・空気に囲まれて”自然の恵み体験隊”家族で自然の恵みと大切さを学びませんか!

を計画し、現在参加者を募集しています.このような活動が、水源地を産業廃棄物処分場から守るため最も有効と考えています。

目的

小野湖
  1. 水源地を汚染する可能性のある施設を認めない。
  2. 水源地を汚染する可能性のある施設を認めない「水道水源保護条例」の制定を働きかける。
  3. 水源地域住民との共存同栄の仕組み作り
  4. 水や水道水源に関する市民の関心を高める活動
  5. その他、水道水源を保全するための活動